「金融大国」「世界の銀行」「小さな大国」などと、評価される国スイス。精密機器や金融など、さまざまな産業で高い評価を受けており、歴史的に独立心が強く、国連加盟もつい最近(2002年)のことです。そんなスイスでは、仮想通貨の導入にも積極的で、ビットコインで授業料を支払える公立大学も誕生しています。
今回の記事ではスイスでの仮想通貨事情を交えて解説していきたいと思います。
スポンサー:週に3回のトレードで50万円を283万円に増やす方法
週に3回のトレードで50万円を283万円に増やす方法が無料で公開されました。1日20分のチャートチェックで後はスマホでOK。元本50万円、月40万円の収入になるそうです。実績者多数の講座なので、是非チェックをオススメします。
■無料:週に3回のトレードで50万円を283万円に増やす方法
スイスは金融大国から仮想通貨先進国へ
スイスの金融業は長い間、銀行秘密保護法で守られてきました。口座情報などのプライバシーを守ることで、世界中の富裕層から資金が集めていたのです。スイスは革新的な選択をし続けている
ヨーロッパの中心に位置するスイスは、周辺諸国の支配を受け続けた歴史を持ちます。その為、他国に支配されたくない、独立していたい、という精神が根付いています。
スイスは、ナポレオン支配が終わった後、ヨーロッパ再建の為に開かれたウィーン会議(1814年〜1815年)で、ヨーロッパの各国から永世中立国として認められました。その後は、第1次世界大戦、第2次世界大戦でも中立を貫いたことで有名ですね。
中立を保ち、顧客の秘密を守る連邦法があることから、戦争中もあらゆる国から資金が集まりました。ナチス・ドイツから資金を隠すために、ヨーロッパ諸国のお金持ちがスイスの銀行を利用したとか、逆にスイスの銀行がナチス・ドイツの資金を隠しているだとか、言われることもあります。
スイスにお金が集まり続けたのは、他国とは違う選択をしたから、といえるでしょう。
職業訓練の国スイスの教育システム
スイスでは教育のシステムもユニークです。
大学へ行くことを重視せず、10代のころから実践的な職業訓練によって、それぞれの分野のエキスパートになることを選ぶ学生が6割以上います。そして、さらに高度な技術や知識を得たい場合には大学と同じレベルとされる高等職業教育受けることもできます。
日本の小・中学校にあたる9年間の義務教育を卒業すると、子どもたちは一般的な高校に進学するか職業訓練教育コースに進むかの2つの選択肢が与えられる。ユニークな点は、日本にはない職業訓練教育というシステムで、職業によって3年から4年にわたり実務と理論の教育を受ける。引用元:GQ|スイスが世界トップクラスのイノベーション大国になった7つの理由
職業と連結した教育を学校教育の段階から実施している、数少ない国です。
金融業に携わる人員のレベルの高さや、時計ブランドの評判の高さはここから来ているのでしょう。北海道の半分ほどの面積しかない、国土が狭い小国ですが、この教育システムによって、世界をリードする国でいつづけているのです。
アメリカの取締り強化で窮地にたたされるスイスの銀行
しかし、2008年の世界金融危機の煽りをうけ、このスイスの銀行秘密法が、世界中から批判を浴びることになりました。
脱税や資金洗浄の温床となり得る、秘密主義をやめるように圧力がかかったのです。2009年には、スイスの大手銀行である「UBS」と「クレディ・スイス」に、アメリカの税務当局が多額の罰金を請求しました。それ以降も、何10人もの銀行関係者が、アメリカの司法省により起訴されています。
厳格な守秘義務で知られるスイスの銀行が、顧客情報を米当局に提供するようになる。スイス政府は29日、米国人顧客の隠し資産に関する口座情報の提供に関して、米司法省と合意した。引用元:日本経済新聞|スイス、銀行の顧客情報提供で米と合意 脱税巡る攻防決着へ
世界中から追求を受けたスイスは、国際的な基準には逆らえないとして口座情報を提供することで合意し、スイスの秘密主義的な金融政策は終わりました。
ブロックチェーンに望みをかけるスイスの事情
そんな背景を持つスイスが新たな金融政策として注目しているのが仮想通貨です。
独自の金融政策をとってきたスイスだからこそ、他国が仮想通貨の規制をはじめる中、仮想通貨を用いた新たな市場開拓に積極的なのだといえるでしょう。
ツーク(クリプトバレー地域)はスイスのシリコンバレー
アメリカのシリコンバレーを意識して作られた、スイスのクリプトバレー地域(Bitcoin Suisse AG本社、ビットコインを格安で世界中に送金するシステムを開発したMonetas本社など20社前後の仮想通貨関連企業が密集している地域)では、公共料金を仮想通貨で支払う構想もあります。
既にツークの町役場では手数料の支払いにビットコインが使えるそうです。
ツークの町役場では、住民登録などの手数料支払いにビットコインが使える。全国レベルでも、スイス政府は業界各社と緊密に連携し、銀行業のライセンスがない民間企業にも顧客が暗号通貨を預けられる仕組みの構築を目指している。引用元:Newsweek日本版|ビットコイン大国を目指すスイスの挑戦
また、ツークにはビットコインのATMもあり、スイス・フランから簡単に仮想通貨を手に入れることができます。
ATMがあることにより、仮想通貨は「インターネット上の実態のない通貨」というイメージではなく、「実際にコードが表示され、利用できる通貨」というイメージに大きくかわります。インターネット上の仮想通貨は不安な人も、ATMで換金できる通貨には安心感が持てそうですよね。
ビットコインで授業料を払えるスイスの公立大学
スイスに拠点を置く、暗号通貨サービスプロバイダ「Bitcoin Suisse AG」を通じて、ルツェルン応用科学芸術大学の授業料が支払えるようになりました。
スイスにある Lucerne University of Applied Sciences and Arts(ルツェルン応用科学芸術大学)が、ビットコインでの学費受け付けを開始すると発表しました。引用元:BITTIMES|スイスの大学がビットコインによる学費受付開始「仮想通貨大国への一歩」
ルツェルン応用科学芸術大学は、スイスのルツェルン市にある公立大学です。1997年に設立された比較的新しい大学で、IT、ビジネス、音楽、社会学、デザイン、建築工学が学べます。また、留学生が多数通う国際的な大学です。日本の武蔵野大学や神奈川大学との交流もあります。
- 参考1:武蔵野大学
ルツェルン応用科学芸術大学(スイス)と協定書を締結しました - 参考2:神奈川大学
ルツェルン応用科学芸術大学工学・建築学部(スイス)との学術交流協定書が締結されました
他の国でもビットコインで学費納入ができる大学は増えつつありますが、ルツェルン応用科学芸術大学では、大学自体がクリプトバレーのメンバーという独特の環境も影響しています。そして、大学でもブロックチェーン技術を研究しているということです。
ビットコインで授業料を支払えるようにすることで、ブロックチェーン技術を学びたい学生を取り込み、研究に役立てる目的もあるのでしょう。
ただし、ビットコインの取引をするのはサービスプロバイダである「Bitcoin Suisse AG」で、「Bitcoin Suisse AG」がビットコインをスイス・フランに換金して大学に支払うということです。つまり、ビットコインの価格変動によるリスクは「Bitcoin Suisse AG」が持つということです。
まとめ:スイスは仮想通貨先進国へ
新しい技術を規制するのではなく、自ら研究して自国の強みにする。そんなスイスだからこそ、仮想通貨先進国と呼ばれているのでしょう。ユニークな教育が育てた、技術の確かなスイスの人材が、ブロックチェーン技術を安心安全で、さらに便利なものへと高めていく可能性も期待できます。
金融大国スイスが仮想通貨とどう向き合うのか、今後もその動向に注目です。
コメントを残す